奥多摩有料道路時代のことだ。
それは1980年代前半から後半にかけて
のことだったそうだ。
奥多摩有料道路内の月夜見第一駐車を下りヘリポートの先の
道路際に小さな駐車場がある。
いまも桜をめでることができるポイントとなっている。
当時、奥多摩最速と自認するHRSさんによると、
そこに移動式カフェHMRが出ていた。
走ることに飽きたころ、
そこで紙コープに入れて出されるコーヒーを飲んでいたそうだ。
「250円くらいだったかな?」
本格的なドリップコーヒーだったので、
それが非常にうまかったよ。」
また、
たまにそこでカップラーメンを食べていたそうだ。
奥多摩の水は旨いことで有名だ。
それで淹れたコーヒーとカップラーメンはさぞかし
美味しかったことだろう。
それが奥多摩有料道路を攻めた後の楽しみだった。
いまから30年近く前の話だ。
いまの奥多摩周遊導路では、
食品衛生上、または消防法のしばりがあるためか?
そういう出店は許可されていないようだ。
また、
その近辺には、有名な「便所コーナー」があったそうだ。
いま、この2つの名所/名物は存在しない。
奥多摩有料道路を懐かしむライダーの記憶
のなかにあるだけだ。
そのカフェHMRだが、
JR奥多摩駅近辺でログハウス風の店構えで
営業を続けている。
さて、今回はVTR1000SP2のことと、
昔奥多摩有料道路を走らせていたヤマハTZR250R-SPの
話をしたいと思う。
先日オーナーさんにお話をお聞きした。
いまはホンダVTR1000SP2(ガンメタ)でツクバを攻めている。
サーキット走行を楽しんでいる。
タイヤはピレリ・ディアブロ・スーパーコルサV2を履いている。
前後サスペンションはスクデリアオクムラでチューニングしたが、
さらなる向上を目指して川崎にある有名なOR&Dでリセッティング
をしてもらったそうだ。
リアはオーリンズサスと交換されている。
ナン:
VTRさんお久しぶりです。
あいかわらずVTR1000SP2を走らせていますか?
ツクバを攻めていますか?
VTRさん
もちろんです。
いまも絶好調です。
しかし、先日富士SWを走ったときのことですが、
ロングストレートでBMW S1000RRに一瞬で抜かれたので
悔しい思いをしました。
ナン、
えっ、そうだったったんですか。
それってどんな感じ?
抜かれるとしたら1.2kのロングストレートですよね。
その後半ですか?
VTRさん
いえ、前半部分で一気にいかれました。
私のVTRはノーマルで130psですが、
アクラボのフルエキを入れているので、
トップエンドでパワーアップしているのですが、
S1000RRは200ps近いですからね。
それはもう呆気にとられました。
ナン:
BMWは、
あの秘密のスリックモードだったのでしょうか?
VTRさん
それは間違いないでしょう。
簡単なハーネス交換だけでフルパワーに出来るそうです。
あのバイクにはGSXR、CBR、YZF-Rでも
勝てませんよ。
勝負になるのはフルパワー化したZX10Rくらいかな?
ナン:
それではVTRから乗り換えを考えるきっかけ
になったとか?
VTRさん:
いえ、それはありません。
乗り慣れている。
一番パフォーマンスを引き出すことができる
SP2から降りるつもりはありません。
速いバイクに乗り換えたとしでもタイムアップできる、
楽しいとは限りませんから。
ナン:
そうですね。
私もそういう話をよく聞きます。
いままで走らせていたバイクではこれ以上タイムアップ
できそうにもないので、
よりパワーのあるバイクに乗り換えたのだが、
かえってタイムが落ちてしまった。
まったくパワーを生かせなかった。
以前のバイクと同じように乗ろうとすると、
パワーがある分、
すぐにコーナーが迫ってくる。
ブレーキングを同じようにできない。
そういう話を聞いたことがあります。
ワインディングでは排気量アップしたミッドレンジのトルクにより
以前のバイクよりも速く走ることができる。
コーナーの立ち上がり加速も強力だ。
ラジアルマウントキャリパーにより
ブレーキは強力になっている。
別の友人はワインディングを走るネーキットバイクと
サーキットを走るバイクを別に所有している。
サーキット用は灯火類を取り外してレース用カウルと交換
している。
サーキットにはそのレーサーと工具をワゴン車に積んで運んでいる。
純粋にサーキット走行のみを楽しんでいる。
私が思うに、
身の丈にあった、
自分にとって能力を引き出せるバイクのほうが
楽しく走らせることができるかもしれない。
そう思うけど?
ナン:
ところで、
ホンダのV4スポーツバイクが出たらどうしますか?
RC213Vレプリカ、
RSV1000Rという名前でミラノショーにでてきそうですが?
VTRさん:
その話はさんざん聞いていますが、
ほんとに出てくるのでしょうか?
でも、常識的なSSの販売価格でないと買えませんね。
ナン:
一説によると1500万だそうです。
VTRさん
それじゃ初めから話になりません。
遠い世界のことです。
私には関係ありません。
ナン:
そうですよね。
いまのCBR1000RRのシャーシに
新開発のV4エンジンを載せて常識的な価格
でだしてほしいものです。
それでは話を変えましょう。
VTRさんはバイク歴は長いそうですが、
印象に残るバイクのことを教えてください。
VTRさん:
それはヤマハTZR250ですね。
ナン:
RZ250Rから改良されたパラレルツインエンジンをデルタボックス
フレームに搭載した初期型(1KT)、
後方排気となっ2代目(3MA)
Vツイエンジンンとなった3代目(3XV)とありますが、
どのモデルを走らせていましたか?
TZRさん(VTRさん改め):
全部新車で購入して走らせました。
ツクバを走らせるために赤本を基本に
してパーツ交換とメンテナンスを行いました。
奥多摩有料道路も当然走らせています。
ナン:
赤本とは、
おそらくRCスゴウ・レースキットマニュアル
のことだと思われる。
TZRさん:
初期型はフレームが弱かった。
ナン:
えっ、アルミデルタボックスフレームなのに
弱いのですか?
TZRさん:
そうなんです。
ノーマルでは、高速で1XX以上出すフラフラします。
ノーマルでワインディングを走らせるくらいなら
フレームが適度にねじれて良いのだと思います。
ナン:
でも、当時東京都心のバイクショップと
KY氏がツクバで活躍していますよね。
TZRさん
それはRCスゴウのレースキットを組んで、
赤本に従ってフレームの補強を行っているはずです。
おそらくRCスゴウの強化スイングアームを
入れているはずです。
そのあたりのことは赤本を基本にしてメンテナンス
しているはずです。
ナン:
そうなんですか?
はじめて聞きました。
1986年当時最速のTZR250(&初期型ガンマ250)が
奥多摩有料道路に出没していたそうだが、
もしかしたらTZRさんのことなのかも?
奥多摩有料道路最速を自認するHRSさんの話によると、
やつらはサーキットでも速い連中なので、
我々、奥多摩有料道路の常連とはレベルが違った。
でも、いつもやってくるわけではない。
そういうときはサーキットを走っていたのだろう。
今度聞いてみたいと思う。
話をもとに戻す。
それで次の後方排気は?
TZRさん:
エキゾーストサウンドは最高でしたが、
その走りはピリっとしませんでしたね。
エアボックスからキャブまで伸びるインダクションチューブ
に問題があるようですね。
直キャブも試してみましたが、
いけません。
まったく走らなくなります。
ナン;
後方排気の後期型はどうですか?
キャブの口径を小さくして倒立フォークと
入れ替えるなど、
いろいろ改良の手を加えていますが?
TZRさん:
残念ながら所有していないのでわかりません。
V型エンジンの噂が広まっていたんで、
それを待つことにしました。
ナン:
次が3型。
90度Vツインエンジン搭載モデルですね。
TZRさん
そうです。
それまでTZRに乗り継いできたので、
最強のTZR250Rに乗ろうと思い
1991年型のSPモデルを購入しました。
ナン:
レーサーTZ250の技術をダイレクトに反映した
モデルですね。
パワージェット付大口径キャブ。
4ストのFCRキャブのように
トップエンドで燃料をドバっと吐き出す???
*ちょっと違うかな?
などなどプロダクション
レースに参戦するためのベースモデルということですが?
「TZR250R SP」が'92モデルとして500台限定で登場。
TM36パイキャブや、乾式クラッチ、クロスミッション、
フルアジャスタブルショックなど、専用設計を多数装備。
TZRさん
それに加えて、
メッキシリンダーを採用しています。
例によって赤本を基本にしてチューニングしました。
キャブはファンネル内周のインシュレーター(リフター)を
取り外しすと口径アップするのでパワーアップします。
プラグは8番のレーシング。
1000kしか持ちません。
メインジェットとパイロットジェットを若干絞って
燃調を薄くしました。
焼き付きがこわいので、
ヘッドカバーを開けてシリンダーの具合をよく見ていました。
パワージット、メイン、パイロット、スローを
微妙にセッティングしてきれいな吹け上がりを実現することが
難しかったねすね。
2サイクルオイルは混合用のモチュールです。
一番高いやつです。
ナン:
有名なカストロールのR30は使ったことはありますか?
あの粘度は強力らしいですね。
TZRさん:
R30ですか?
使ったことはありません。
あれはレースのときだけに使うもので、
使用後タンクから混合ガソリンを抜かないと
すぐに腐るという話を聞いていました。
タンクに入れておけませんね。
そのほかにも、
2サイクルポンプを取り外して混合仕様に改造。
キックペダル機構を取り外して押しかけ仕様に改造。
エンジンに接続される余計なものを取り去ることで若干ですが
パワーアップします。
公道を走るTZ250のようなバイクになりました。
そういった改造を行うことで、
スロットルを開けるだけで
即座にウイリーするモンスターになりました。
あるとき友人に貸したら驚いていましたよ。
ナン:
凄いTZR250Rもあったものですね。
TZRさん:
まだまだ話のネタを尽きません。
ナン:
そのあたりのことは、
また次回お聞かせください。
前後サスセッティングは?
そのとき履いていたタイヤ(ライディーン?)は?
ツクバを走ったのか?
TZR250R-SPのその後は?
また、VTR1000SP2の現状のことも
教えてください。
今回はありがとうございました。
ではでは//