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Channel: アドリア海のフラノ -SINCE 2006-
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bimota YB11との遭遇

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3連休の中日。
私は例によってバイク仲間があつまる「THバイク」さんに出かけた。
そこにはなんとbimoya YB11が来ていた。

噂に聞いていたクロサワ11さんの愛車だ。
はじめて見せていただいた。
なんとも美しいスタイリングだ。
これはYB8にはないボリューム感だ。

オーナーさんいわく、
ヘッライトがいま1つ気にいらない。
これはTRX850のライトと同じだよね。

たしかに似ている。
bimotaは1994年、
イタリアのベルガルダ・ヤマハの傘下となった。
新たに就任したワルター・マルティニという社長は、
ベルガルダ・ヤマハから送り込まれた人物だった。

おそらくヘッドライトパーツは、
ヤマハから融通してもらったのだろう。

私見だが、
SB6とYB11のスタイリングは、
それまでのノッペリした単調なデザインからセクシーなデザイン
に生まれ変わった。


バイク全体をプロデュースしたのは、
ピエルルイジ・マルコーニだが、
デザインはベルガルダヤマハのデザイナーにやらせた
のではないかと想像している。
いつも思うのだが、ヤマハSZR650のスタイルに似ている。

そしてYB11に跨ってみた。

大島優子ちゃんではないが、

「なにこれ!

私は思わず叫んでいた。

ハンドルまで近いじゃない。
そして足つきも良好だ。

なにもかもYB8とは違う。
「これなら間違いなくツーリングにも使えるぞ」
私は率直にそう思ってしまった。

YB11には大型のラジエーターが装備されている。
そんなに水温は上がらないそうだ。
ラジエーターキャップコックやサーモスタット単体の
部品不良が心配といえば心配だ。
そこはRBさんになんとかしてもらえばいいことだ。

いつも気になっているbimota SB6Rの場合は、
シートも高いしハンドルまで遠い。
そしてバイクが重い。

それがこれまで6Rの購入に踏み切れなかった
最大の理由なんだだ。
いままでbimota史上最速のバイクだった。


もし、YB11を買ったら、
こればっかり走らせることは目に見えている。

これはたいへんだ!
 
ここで少しYB11のことを考察してみたいと思う。

YB11はbimotaらしさががまったくない。
そう言われることが多い。
たしかにそうかもしれない

かつてのパイプトレリスフレームモデル
のようなハンドメード感や優雅さとは無縁だ。

TTF1世界選手権やワールドスーパーバイク選手権
で勝利した栄光の歴史とも縁遠い。

しかし、ハンドリングの完成度が上がった。
そう思うようになった。
 
1996年に発売開始されたYB11。
前作のYB8のスタイルを変更しただけのお色直し
モデルではない。
すべてにわたって見直されている。

YB8のフレームは、
元をただせばYB4EIとYB6までさかのぼることができる。
最初に開発されたYB4Rは、はじめDB1と同じ
前後16インチレーシングタイヤを履いていた。

その後、前後17インチホイールに換装されて1987年の
TTF1世界選手権でチャンピオンに輝いた。
その脅威のハンドリングでパワーに勝るでホンダRVF750を破った。

その翌年の1988年。
初開催となるワールドスーパーバイク選手権でも
最新鋭のフューエルインジェクションを搭載したYB4EIR
でランキング2位を獲得した。
後、もう一歩でチャンピオンを逃した。

WSBKホモロゲーションを取得するために販売されたのが、
ヤマハ750cc4気筒エンジン(+フューエルインジェクション)
を搭載したYB4EI、
ヤマハ989c4気筒エンジン(2GH)を搭載したのがYB6だった。

1988年当時、
このYB4EIとYB6のシャーシを生かせるタイヤは、
ミシュランラジアルA48XとM59Xしかなかった。
1988年型GSX-R750も履いていた。

バイアスタイヤでは不可能なワイドサイズ、軽量、ハイグリップを
実現したタイヤだった。
YB4EIとYB6のシャーシとこのミシュランラジアルタイヤ
によりハンドリング向上をもたらした。
しかし、まだまだ直線安定性重視の傾向から脱却するまで
にはいたらない。
フロントホークはまだ倒立フォークが登場する以前のマルゾッキ
M1Rだった。



そしてYB8にはより完成度の高いヤマハ1002cc
4気筒エンジン(3GM)を搭載した。
タイヤもミシュランハイスポートラジアルTX11、TX23
にグレードアップした。
このタイヤでコーナリング性能が大幅に向上した。





YB8には大柄のフロントファアリングとシートカウルが与えられた。
このことでハイエンドスーパーバイク/高級車としての
性格が与えられた。

YB4、YB6はスーパースポーツ、
YB8(&Dieci)はフラッグシップとなった。

そして1996年に登場したYB11では、
ヤマハサンダーエースの4気筒エンジンを搭載してシャーシ
に改良が加えられていた。

その開発コンセプトは最新のミシュランラジアルタイヤの性能を
100%生かす1000ccSSとすること。
ハンドリングバイクとすること。
二人乗りもできる。
Front: 120/70 ZR 17 TX 15 TL Michelin 
Rear: 180/55 ZR 17 TX 25 TL Michelin


YB6 frame

YB8 Frano frame


 YB11 frame

そのためYB8フレーム内部で左右を接合していた
横板のようなサイドメンバーが削除された。
このことで横剛性が下がりフレームがねじれるようになった。
縦剛性は太くなったカセット式フロントフォークが踏ん張るようになり
フレームとバランスを取った。
中身は倒立フロントフォークと同じになっている。

 このバランスの取れたフレームとフロントフォークで
最新のミシュランTX15 TX25の性能を生かすことができた。

また、タンク容量を20Lから15Lまで削減して
ライディングポジションを大胆に前進させた。
このことでハンドルまで楽に手が届く。

大口径51φインナーチューブとすること
で剛性を上げたカセット式正立フロント
フォーク(パイオリ)を採用した。

最新のラジアルタイヤ、横剛性を見直したアルミツインスパー
フレーム、大口径フロントフォーク、前後に自由度の高い
ライディングポジションにより、
フロントタイヤの効率を最大限に生かせるハンドリングバイク
としてのポテンシャルが与えられた。

フロントタイヤのコーナリング性能を最大限に高めるためには、
タイヤ、フレーム、フロントフォークの進化が必要だったわけだ。
YB8 Furano(オーリンズレーシングフォーク)と
YB8 Evo(パイオリ)では後一歩まで迫ったが、
フレームまで改良したYB11ではじめて可能になった。
そう言っていいだろう。


またエンジンは鍛造ピストン、メッキシリンダーを初めて採用
したヤマハサンダース4気筒エンジンを搭載した。

このエンジンはトップエンドのパワーを狙ったものではなく、
ミッドレンジのトルクを増強する特性のもので、
おだやかなカムプロフィールが与えられた。
これでアウトバーンなどのハイウエイで楽にハイスピードを
維持することができる。

YB11はこのミッドレンジのトルクを利用して
ワインディングを風のように駆け抜けることが可能なんだと思う。

というわけでYB11のハンドリングは、
前作のYB8よりも大幅に向上している。

1996年当時としては、
もっともハンドリングが良い1000ccSSに仕上がって
いたことは間違いない。

いまならダンロップα13を履かせてみたいね。



bimotaなのに世界最速ではないのか?

そういう要望に応えるために、
翌年の1997年、bimota SB6Rが発売された。
最高速度は限りなく300kに近づいた。
エアポートの2kのストレートで292kを記録している。

YB11はハンドリングバイク、
SB6Rは世界最速のバイクというコンセプトで
どちらのモデルとも600台以上が全世界に向けてリリースされた。

 
 

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