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奥多摩最速伝説 Dの伝説
モンジュイとの遭遇
寒かった冬は過ぎ去り暖かい春の日差しが差し込んでいた。
私は白丸荘を出て新青梅街道を流していた。
バイクはおなじみのガンマ400.
私は白丸荘を出て新青梅街道を流していた。
バイクはおなじみのガンマ400.
平松交差点で信号待ちしているときのことだ。
後方からひと気は図太いエキゾーストノートが聞こえてきた。
直列4気筒ではない。
これはドゥカティに違いない。
MHR900?
いや違う。
そのドゥカティは私の隣車線に並んだ。
ちらっと右を見ると、
750F1だった。
もてよ、ちょっと違う。
750F1だった。
もてよ、ちょっと違う。
サイドカウルがレットとシルバーに塗り分けられている。
そしてスクリーンが上に尖がっている。
そしてスクリーンが上に尖がっている。
あっ、これは噂に聞く、
750F1モンジュイに違いない。
信号待ちしているのに、
なぜかスロットルを激しくあおっている。
乾式クラッチのシャリシャリ音と
サイレンティウムのマフラー
から吐き出される迫力のエキゾーストノートが
否でも応でもパフォーマンスの高さを主張していた。
から吐き出される迫力のエキゾーストノートが
否でも応でもパフォーマンスの高さを主張していた。
そうか、俺のガンマ400を見て、
勝負を挑んでいるのか?
よし、その勝負受けてたとうじゃないか!
私は青信号と同時に鋭い加速を決めた。
しかし、ついてこない。
なんだ、やるんじゃなかったのか?
それにしても素晴らしいエキゾーストノートだ。
私は少しスピードを緩めて斜め後方から
そのマフラーが吐き出すエキゾーストサウンドに
酔いしれた。
私は少しスピードを緩めて斜め後方から
そのマフラーが吐き出すエキゾーストサウンドに
酔いしれた。
いいね、
しばらくモンジュイを追走したが、
やつはスピードを上げ遠ざかっていった。
ああっ。
私は見とれてしまった。
わたしも「連法寺跡」の交差点を左折したので、
モンジュイとはごく短い間の遭遇だった。
なんのことはない出会いだが、
これがドゥカティにいたる道の第一歩だった。
私は見とれてしまった。
わたしも「連法寺跡」の交差点を左折したので、
モンジュイとはごく短い間の遭遇だった。
なんのことはない出会いだが、
これがドゥカティにいたる道の第一歩だった。
平松交差点でブリッピンを繰り返していたのは、
ガンマ400に勝負を仕掛けているのではなく、
モンジュイの空冷Lツインエンジンをアイドリングさせておく
ことができなかったからだった。
そのことは後になって知った。
そのことは後になって知った。
通称モンジュイカムと呼ばれる尖がったカムを装着して、
高回転で95psのハイパワーを絞り出すためだった。
そのためはじめから低速を犠牲にしている。
それとデロルロキャブとの組み合わせでは、
アイドリングさせることができない。
いつもスロットルをレーシングさせなくてはならない。
これはまったくのレーシングバイクだ。
これで公道走行するとは驚きだ。
米国ではロードバイクとしての認可をとることができなかった。
1986年に製造された台数は200台。
そのうちの129台が日本に輸入された。
ちょっとしたモンジュイブームだった。
タイヤは前後に極太のミシュラン16インチ溝付きの
レーシングタイヤを履いていた。
レースに出場することを前提にした750F1だったんだ。
ほかにもアクロンアルミリムとダイマグのスポークにより構成される
2ピースホイール。
ブレンボ4ポットキャリパーと鋳鉄フローティングディスクが
ブレンボ4ポットキャリパーと鋳鉄フローティングディスクが
装備されていた。
ドゥカティ空冷Lツインデスモ・パンタ(パンサーの略)
エンジンは、MHR900搭載の伝統のベベルギア空冷Lツイン
エンジンの後を引き継ぐ決定打だった。
カム駆動に当時画期的なゴックドベルトを採用した。
高い工作精度と高コストが必要なベベルギアからの転換
だった。
1978年に登場した500SLからはじまり、
600、650SLと続き、
1978年に登場した500SLからはじまり、
600、650SLと続き、
1985年、トニー・ラッターのライディングでTT2選手権を
4年連続チャンピオン(1981-84)を獲得した
パンタレーサーのスタイリングをまとった750F1が登場した。
そしてモンジュイはスペイン・バルセロナ24時間耐久選手権に
出場した750F1レーサーのレプリカバイクとして販売された。
出場した750F1レーサーのレプリカバイクとして販売された。
それは1986年のことだった。
また、TTF1選手権参戦のためのホモロゲバイクであり、
また、TTF1選手権参戦のためのホモロゲバイクであり、
市販レーサー的な位置づけだった。
ガンマ400はRGガンマ500レーサーのレプリカバイク
だったが、サーキットを全速で走行できる性能は待ち合わせて
いなかった。
あくまでも、公道で楽しむためのロードスポーツバイクだった。
しかし、その個性は強烈だった。
あくまでも、公道で楽しむためのロードスポーツバイクだった。
しかし、その個性は強烈だった。
このとき奥多摩に向かう軍畑コークスクリューの下りで
カチンコ勝負していたら、
はたしてどうなったいただろう?
851にはかろうじて勝ったが、
モンジュイがどれほどのパフォーマンスを発揮するバイクかは
いまとなってはわからない。
出会っていた場所が青梅の街中でなかったら、......
イメージとしては、
おそろしく速いバイク
だったに違いない。いまもそう想っている。
スぺックを比較する
ここでDucati 750F1モンジュイと
ガンマ400/500スペックを見比べてみよう。
ガンマ400/500スペックを見比べてみよう。
Ducati 750F1 Desmo Ⅲ型
Year
1987
Max Power
76 hp @ 9000 rpm
Max Torque
7.2kg @ 7000rpm
Dry-Weight
175 kg
Top Speed
223.7 km/h (1985 model)
-------------
Ducati 750F1 Montjuich
Year
1986
Max Power
95 hp @9000 rpm 10000rpm (後輪で84.7ps)
Dry-Weight
165 kg 156kg(車両重量175kg)
Braking 60 - 0 / 100 - 0
/ 34.7 m
Year
1986
Max Power
95 hp @
Dry-Weight
Braking 60 - 0 / 100 - 0
/ 34.7 m
Standing ? Mile
11.8 sec / 183.km/h
Top Speed
218.9 km/h
11.8 sec / 183.km/h
Top Speed
218.9 km/h
モンジュイは95psまでパワーアップされたエンジンを
搭載しているのに、
最高速度のデータがそれほどでもない。
おそらくサーキットでタイムを出すためのギアレシオ
最高速度のデータがそれほどでもない。
おそらくサーキットでタイムを出すためのギアレシオ
だったのだろう。
-----------------
Suzuki RG 500 Gamma
Year 1985
Max Power 95 hp 70 kW @ 9000 rpm
Suzuki RG 500 Gamma
Year 1985
Max Power 95 hp 70 kW @ 9000 rpm
(後輪/rear tyre 83. hp @ 10000 rpm )
Max Torque 72 Nm 7.3 kgf-m @ 9000 rpm
Dry-Weight / Wet-weight 156 kg / 175 kg
Braking 60 - 0 / 100 - 0 16.0 m / 39.2 m
Standing ? Mile 11.2 sec / 193.9 km/h
Top Speed 236.4 km/h
---------------ーーー
RGガンマ400のデータ
いまも手元に残る当時のバイク雑誌/ムックから拾ってみた。
谷田部テストコースで計測されたものだ。
テストライダー個人の技量と気象条件によりバラツキが
Max Torque 72 Nm 7.3 kgf-m @ 9000 rpm
Dry-Weight / Wet-weight 156 kg / 175 kg
Braking 60 - 0 / 100 - 0 16.0 m / 39.2 m
Standing ? Mile 11.2 sec / 193.9 km/h
Top Speed 236.4 km/h
---------------ーーー
RGガンマ400のデータ
いまも手元に残る当時のバイク雑誌/ムックから拾ってみた。
谷田部テストコースで計測されたものだ。
テストライダー個人の技量と気象条件によりバラツキが
出たのだろうか?
ガンマ400の最高速度/0-400m加速
ムックA 210k/12秒
ムックB 222k/11.9秒
モーターサイクリスト 226k/?
ムックA 210k/12秒
ムックB 222k/11.9秒
モーターサイクリスト 226k/?
ガンマ500の計測データ
海外仕様を持ち込んでテストしたものだろうか?
以前、国内仕様のガンマ500を走らせたことがあるが、
加速はガンマ400のほうがはるかに速かったと記憶している。
ツーリングに使えるマイルドなバイクだった。
海外仕様を持ち込んでテストしたものだろうか?
以前、国内仕様のガンマ500を走らせたことがあるが、
加速はガンマ400のほうがはるかに速かったと記憶している。
ツーリングに使えるマイルドなバイクだった。
最高速度/0-400m加速
ムックB 227k/11.42秒
モーターサイクリスト 246k/?
ムックB 227k/11.42秒
モーターサイクリスト 246k/?
それからモトライダー誌だったか?
ガンマ400にスガヤのチャンバーを装着した
バイクのインプレを連載していた。
加速は恐ろしいほど速くなるが、
谷田部テストコースに持ち込んだときの最高速のデータ
は190k前後にとどまった。
セッティングが合っていなかったのか?
230kくらいは出ると信じていたので、
この結果には正直いってがっかりした。
加速は凄まじく速くなるが、
最高速度は伸びない結果になってしまった。
ノーマルのエアボックスと
そこから伸びる長い吸気インダクションチューブ
との兼ね合いで最高速を引き出すには
キャブをセッティングし直す必要があった思う。
しかし、これをやるとエンジンを壊すことになったかも?
ガンマ400/500のエンジンは、
ロータリーディスクバルブ吸気のため、
エンジンサイドにキャブレターが取り付けられている。
エアボックスから吸気行程が長くストレートにならないため、
どうしても外部環境の影響を受けやすいようだ。
ロータリーディスクバルブ吸気のため、
エンジンサイドにキャブレターが取り付けられている。
エアボックスから吸気行程が長くストレートにならないため、
どうしても外部環境の影響を受けやすいようだ。
キャブは4個別々に取り付けられる。
ステアリングヘッドのエアボックスから
吸気インダクションチューブがキャブに伸びるが、
キャブの直前で90度曲がっている。
あまりにも長い吸気行程になっている。
開発者は安定した吸気条件を作り出することに苦労した
だろうと思う。
高回転まで回しても焼き付かない。
といって低回転が続いてもプラグがかぶらないこと。
公道での走行条件はさまざまだ。
といって低回転が続いてもプラグがかぶらないこと。
公道での走行条件はさまざまだ。
RGガンマ500レーサーでパワーを追求する技術とは違う、
ロードバイクならではの困難な問題だったに違いない。
それが最高速度の記録が安定しない要因となっている
のかもしれない。
ちなみにTZR250後方排気初期型(3MA)も同様の問題を抱えて
いたようだ。
のかもしれない。
ちなみにTZR250後方排気初期型(3MA)も同様の問題を抱えて
いたようだ。
これは吸気を阻害する。
*専用のオイルを塗布したスポンジフィルターだったかもしれない。
あまりにも昔のことなので記憶が曖昧だ。
といって取り外すわけにはいかない。
4個のキャブの吸気条件をそろえることができなくなる。
それをK&Nのコットンフィルターにするとどうなるかな?
4個のキャブの吸気条件をそろえることができなくなる。
それをK&Nのコットンフィルターにするとどうなるかな?
モンジュイはノーマルの750F1よりも
19k軽量で19psパワーアップしている。
156kgの乾燥重量の車体に
95psものパワーを絞りだすエンジンを搭載している。
スペック的には輸出仕様のガンマ500とほぼ同じパワーだ。
エアボックなんてない。
デロルトキャブのファンネルに網がかぶせてあるだけだ。
サーキットを走るレーシングバイクではそれで良かった。
ブレーキング能力は100 - 0/ 34.7 m
このデータは特質に値する。
1980年代後半以降ここまで制動力の優れた
バイクのデータは見当たらない。
さすがにグランプリレースで使われていた、
ブレンボ4ポットキャリパーと鋳鉄フローティングディスクの
威力だ。
本来レース用パーツなのでハードブレーキングを繰り返しても
性能低下しない。
また、鋳鉄ディスクは放熱性に優れている。
本来レース用パーツなのでハードブレーキングを繰り返しても
性能低下しない。
また、鋳鉄ディスクは放熱性に優れている。
ガンマ500のブレーキング能力は
100 - 0 / 39.2 m
100kからの完全停止は、、
モンジュイよりもよりも約5m長い制動距離が必要だ。
100 - 0 / 39.2 m
100kからの完全停止は、、
モンジュイよりもよりも約5m長い制動距離が必要だ。
それほどブレンボ製ブレーキシステムが高性能だった
ということなのだろう。
ガンマ400/500も4ポットキャリパーなのだが、
残念ながら量産パーツレベルなのだろう。
おそらくハードブレーキングを繰り返すと
徐々に熱ダレを起こして性能低下すると思う。
おそらくハードブレーキングを繰り返すと
徐々に熱ダレを起こして性能低下すると思う。
不思議なのがガンマ500には、
ガチャガチャ動かないフローティングデスクが装着されて
いた。はたして効果があったのだろうか?
なお、ガンマ400はSBSブレーキパッドと交換して
劇的に制動力向上した。
劇的に制動力向上した。
ガンマ400 Vs モンジュイ
0-400加速
モンジュイ:11.8秒
ガンマ400は11.9秒
加速性能はほぼ互角といっていいだろう。
モンジュイ:11.8秒
ガンマ400は11.9秒
加速性能はほぼ互角といっていいだろう。
乾燥重量はモンジュイとガンマ400/500
は同じ156kgの乾燥重量。
装備重量も同じ175kg。
モンジュイのブレーキシシテムはグランプリマシンなみの
制動力を持つブレンボ4ポットキャリパーを装着している。
そしてガンマ400の59psに対して95ps、
後輪で84.7psのハイパワーをたたき出す。
ガンマ400のパワーは公称59ps。
あの強烈な加速を考える、
あの強烈な加速を考える、
ノーマルマフラーでも70ps前後まで出ていたに違いない。
スガヤのチャンバーと交換すると80ps前後まで出ていた
はずだ。
最後にこれらのデータをもとに
ガンマ400 Vs モンジュイの勝負をシミュレーションしてみたい。
ある夏の早朝のことだ。
私はガンマ400を奥多摩に向けて走らせていた。
そのとき前後にノーマルホイールに入る限界いっぱいの
ワイドサイズタイヤを履かせて様子を見ていた。
フロント120-80/16、リア140-70/17だったかな?
少し前に軍畑コークスクリューの立ち上がりでリアタイヤを
大きく滑らせてXXXXという怖い思いをしたので、
その対策の一環だった。
そして青梅の市街地を通り過ぎて
例の軍畑コークスクリューを下ろうとしていた。
車体が軽くバランスの良いガンマの真骨頂を
を発揮できる場面だ。
車体が軽くバランスの良いガンマの真骨頂を
を発揮できる場面だ。
ここで少し前にガンマ400に勝負を仕掛けてきた851に
「どうだ」
とばかりに紫煙を浴びせかけたばかりだった。
あんな重いバイクなどには負けはしない。
ところが、
またしてもドゥカティが襲いかかったきた。
「どうだ」
とばかりに紫煙を浴びせかけたばかりだった。
あんな重いバイクなどには負けはしない。
ところが、
またしてもドゥカティが襲いかかったきた。
遠くからあの空気を震わせるような空冷Lツインデスモサウンド
が聞こえてきた。
そしてどんどん近づいてくる。
私はミラーに目をやった。
「あれは750F1ではないか?」
そうだこの前、青梅の街中で遭遇したモンジュイに違いない。
そうだこの前、青梅の街中で遭遇したモンジュイに違いない。
そしてガンマ400との距離をあっという間に詰めてくる。
ただものではない。
そう思った私は即座に気持ちをバトルモードに切り替えた。
ただものではない。
そう思った私は即座に気持ちをバトルモードに切り替えた。
2速にシフトダウンして、
軍畑コークスクリューに突入した。
リーンアウトで右に左に切り返したとき、
モンジュイがピッタリと後ろに付いてくるではないか!
得意としている軍畑コークスクリューの高速切り返しについて
くるなんて信じられない。
いままで、
ここまで差を詰めてきたバイクなんていなかった。
おそらく、モンジュイは750ccバイクとしては超軽量なバイク、
ここまで差を詰めてきたバイクなんていなかった。
おそらく、モンジュイは750ccバイクとしては超軽量なバイク、
しかもブレーキ性能が高いからだろう。
「こいつは手強いぞ」
ここで詰められたら、
後は得意の加速で引き離すしかない。
そして最後の右コーナーの立ち上がりでスロットルを
ワイドオープンした。
そのとき身体全体を前のめりにしてフロントタイヤを抑えつけた。
ウイリーしたらその隙に先行されるからだ。
しめた!
軍畑交差点の信号は青だ。
即座に2速で10000rpm以上まで回して
軍畑交差点の信号は青だ。
即座に2速で10000rpm以上まで回して
3速にシフトアップして引き続き加速。
2速ではオーバーレブ領域まで回した。
いままでスクエア4をここまで回したことはない。
4ストだったら確実にバルブとピストンが衝突して
いる領域だ。
スクエア4/180度点火同爆エンジンが放つ圧倒的な
加速能力で引き離しにかかった。
そのとき大量の紫煙をモンジュイに浴びせかけていた。
「このガンマ400の加速についてこられるわけがない!」
私は無意識にそう絶叫していた。
ところが、その先の高速S次を抜けて、
「沢井ミストラルストレート」を駆け上がっているとき、
ガンマ400が吐き出すその紫煙の中から
モンジュイが現れたかと思うやいなや、
すっと抜かれていた。
その時モンジュイとガンマ400は全開の雄叫びをあげていた。
午前5時半のことだった。
「えっ、このガンマ400がストレートで抜かれるなんて、
そんなことなどありえない」
私の頭の中はパニックになっていた。
そこで緊張の糸がプツンと切れた私は
そこで緊張の糸がプツンと切れた私は
スロットルを緩めていた。
その横を750F1モンジュイを駆るライダーは、
左手を差し上げて勝ち誇ったように遠ざかって行く。
私は呆然とした姿でガンマ400を路肩に止めて
天を仰いでいた。
....................
....................
これがガンマ500の輸出仕様だったら、
リードを保ったままミタケまでたどり着けたに違いない。
いや、スガヤのチャンバーと交換して限界の12000rpmまで
回していたら、.......
リードを保ったままミタケまでたどり着けたに違いない。
いや、スガヤのチャンバーと交換して限界の12000rpmまで
回していたら、.......
しかし、もう2度とバトルの機会は訪れないだろう。
モンジュイの空冷Lツインデスモエンジン。
トップエンドに向けてスロットルをワイドオープンしたとき、
強制開閉式デロルトキャブは即座に全開になる。
それに連動して加速ポンプは大量のガスを吐き出す。
そのときモンジュイは「カムに乗る」2次曲線的な強烈な
吹け上がりをみせて絶頂の雄叫びを上げる。
さて、ここで真の結末のことをお話しよう。
この勝負、実は痛み分けだった。
モンジュイはガンマ400との勝負でエンジンをオーヴァーレブ
領域まで回してしまい、その息の根を止めてしまった。
ミタケの手前で止まってしまった。
私とガンマ400はそのことを知らない。
レーシングパンタを起源とするモンジュイの空冷Lツインデスモ
エンジンは最速だった。
しかし、繊細さと隣り合わせだった。
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また、たび重なる日本製4気筒バイクとのバトルでエンジンが
疲弊していたのかもしれない。
乾式クラッチを装備した、
スズキGSX-R750Rは強敵だった。
当時発売されたばかりのミシュラン・ラジアルタイヤ
(A59X/M59X)を履き、
ヨシムラサイクロンマフラー、加速重視のスプロケと
交換していただろうと思う。
それともう一台。
クロスミッションを装備したFZR750R。
レース参戦を前提にしたモデルで主に米国で販売された。
1気筒5バルブ水冷4気筒エンジンを搭載していた。
それは「ジェネシス」と呼ばれ畏怖されていた。
最先端テクノロジーの権化だった。

そして最後に幸か不幸か?
ガンマ400という手強いライバルと出会ったのだった。
その後ドゥカティは、
この空冷Lツイン750ccエンジンをベースにして
DOHC4バルブヘッドを持つ水冷Lツインデスモエンジンの開発
DOHC4バルブヘッドを持つ水冷Lツインデスモエンジンの開発
をはじめていた。
空冷LツインデスモエンジンではTTF1選手権に勝利することが
できなくなったからだ。
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その後、空冷Lツインデスモは大排気量化への道を歩む
ことになり、その過程でモンスター900という名車を生み出す
ことになる。

この話は創作です。
続く
Ducati 750F1 Montjuich
http://www.motorcyclespecs.co.za/model/ducati/ducati_750f1_montjuich%2086.htm
http://www.motorcyclespecs.co.za/model/ducati/ducati_750f1_montjuich%2086.htm
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