このホンダRC213V-Sは素晴らしいエンジンフィーリング
とハンドリングを兼ね備えた最高バイクだと思う。
そう思うわけは、
昨年、このRC213V-Sのベースとなった
市販レーサーRCV1000Rは、
初戦のロザイルでスコットレディングが7位、
ニッキーヘイデンが8位でフィッシュした。
ファクトリーマシンが上位を占めるMotoGPでこの
成績は画期的なことだと思う。
その後何度もレディングとヘイデンが
トップ10フィニッシュ(9位)している。
そして全18戦のほとんどのレースでポイントを獲得している。
ニッキーヘイデンはこのバイクはハンドリンは優れている。
後足りないのはパワーだけと言い続けていた。
それはRCV1000R搭載のV4エンジンが
コーナーの出口で絶妙にトラクションがかかる。
エンジンブレーキの効きが絶妙など、
コイルスプリングバルブ機構エンジンならではの、
普通のオートバイのようなフィーリングを得られることが、
バイクのパフォーマンスを100%出し切れたからだと思う。
しかし、それ以上はなにも絞り出せなかった。
昨年の前半スペインGPまでに改良型エンジンを
投入する話があった。
また日本GPに青山が走らせたバイクは改良型エンジン
だったかもしれない。
ヘンデンは292k、青山は300kのトップスピードを記録していた。
なぜ、早い段階でパワーを上げたエンジンを投入しなかったのか?
おそらくこれ以上回転を上げたらエンジンのマイレージ(耐久性)
を確保できなかったのだろう。
シーズンが終わってみればオープンクラスリミットの12機まで
投入していた。
シーズン5機ではまかなえなかった。
そこで今シーズンからニューマチックバルブ機構を搭載した
RC213VRSを得たが、どうもいけません。
バイクはパワーがあるだけでは速くならない。
バランスが悪くなってしまった。
ニューマチックバルブ機構は扱いが難しいエンジン特性
なのかもしれない。
過渡特性を云々できるものではないのかもしれない。
ファクトリーマシン搭載のソフトウエアでないとセッテング
できないのかもしれない。
ということで、
RC213V-Sは素人のライダーでも扱える、
コイルスプリングバルブ機構V4エンジン
を搭載したRC213V-Sとしたののだろう。
そう思えてならない。
ハンドリングはMotoGPチャンピオンを獲得した、
マルケスのRC213Vと同じだと思う。
最近、こういった結論を導きだした。
ニューマチックバルブ機構とシームレストランスミッション
を搭載していないが、
それに目をつぶってでも、
いや、どうせロードでは不要なものだ。
それがなくてもMotoGPチャンピオンレプリカバイクだと思う。
MotoGPでトップ10に入ることができる、
最高のエンジンフィーリングとハンドリングバイクを買う
ことができる。
それは夢のようなことだと思う。
ちょっと褒めすぎかな?
それは人それぞれだ。
できれば、
この最高のバイクに試乗してみたいが、
2190万円のバイクではそういうチャンスは皆無だ。
最近、ライダースクラブクラシックで
MV Agusta GP500(3気筒エンジン)の
インプレッションを読んだ。
1960年代の段階でパワーよりもハンドリング、
絶妙なエンジンフィーリングにより、
最強のパワーを誇るホンダ4気筒バイク(RC181)を
打ち破った。
ホンダがグランプリから撤退した後も勝利を重ねた。
15回のグランプリチャンピオンに輝くジェコモアゴスチーニいわく、
3気筒バイクは自分の手袋のようにぴったりと馴染むバイクだった。
いつも100%の性能を引き出せるバイクだったと
語っている。
最高の使い手が手にすれば、
最高の演奏が可能な、
ストラディバリウスのような名機だった。
RC213V-Sもそんなバイクではないだろうか?