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Channel: アドリア海のフラノ -SINCE 2006-
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2015 YZF-R1 Vs 2002 YZF-R1

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先日、走行距離が多い06R1の出物があったが
踏み切れなかった。
安かったら考えないこともなかったが、
中古車販売サイトで検索したら、
走行距離が短く安い車両価格の06R1が出ていた。
こういうものを見たら、
ちょっと難しいね。
そこはバイク屋さんの事情なのでわからない。

その後、考えが変わった。
なにも2006年型R1にこだわる必要はない。
R1-
SPのような特別なプレミアムなバイクでもない。

2006年型がなぜ、
フレーム剛性を見直しスイングアームが延長したのか?
それは2004/05年型がレースで使用することを考えて
おもいっきり高剛性フレームにしたからだ。
それでヤマハはWSBKに復帰してレースで活躍した。

従来のR1の74mmから77mmまでボアップして
高回転型エンジンとなった。それで171psまで
パワーアップした。
しかし、高回転型エンジンは必然的に低速トルクが犠牲になる。
一般道では剛性が上がった固いフレームと低速トルクが細く
なった性格により扱いが難しいバイクだったのかもしれない。
 
そこで2006年型R1でフレーム剛性を見直して
ロングスイングアームを装着した。
フレームが適度にしなる/ねじれるようになり、
路面との追従性がよくなりよりパワーを生かすことが可能
になった。
初期型R1がもっていたハンドリングマジックの再現を目指した
ものといえるだろう。
しかし、ショートストロークエンジンは変わらないので、
コーナー出口からの加速力までは再現できなかったと思う。
 
ちなみに、このフレームは、
2007年型4バルブR1フレームのベースとなった。
 
そこで考えた。
それ以前のR1はどうだったのだろう?
1998年に登場した初期型R1は、
それまでの1000cc4気筒バイクにはない、
スーパーハンドリングが実現された。
また、エンジンは3軸構成の上げて前後に短い新型となった。
また、FZR1000/YZF1000Rのボアは、
75.5mmだったが。
初期型R1はボアを74mmに縮小して、
従来よりもロングストロークエンジンとした。
それが強力な低速トルクとコーナー出口からの強烈な加速を
生み出す原動力となった。
ちなみにライバルのスズキGSX-R1000のボアは73mm
だった。

2000年型R1は大改良されたた。
150ヶ所の改良と250個のパーツを新作したそうだ。
初期型R1はサーキットではないツイスティーロード最速を目指
したSSだった。
そのコンセプトがヨーロッパで評価されて大いに売れた。
次の2002年型R1でインジェクションを搭載して
フレーム剛性を上げた。
初期型R1は、あまりにもマニアックなハンドリングだったので、
02年型R1で乗りやすさが加味された。
コーナリングスピードも向上したそうだ。
完成度を上げた。

そこで再び候補に浮かび上がったのが、
2002/2003年型R1。
パワーは150ps前後だが、
これで充分ではないか?
実際FZR1000エンジン搭載のBimota Dieciを
走らせていたので、新型R1の200psなんてパワーは使い切れる
ものでないことはわかっている。

また、02R1は192kgの装備重量なのでかなり軽量だ。
新型クロスプレーンR1よりも約8kgくらい軽い。
フレーム剛性は2000年型よりも高くなっている。

そういうとき、
2000年型R1をバイク屋でみた。
良いもののだが、
ちょっと過激すぎるように思えた。
薄いプレス材を多用してそれがフレックス(折れ曲がる)する
アルミツインスパーフレーム。
これが過激なハンドリングの源だと思う。
 
 
しかし、ゆっくり走れる?
真っ直ぐ走れる?
フラフラしない?
フロントタイヤが切れ込まない?
前オーナーはオーリンズステアリングダンパーを
最強まで締め上げていた。
難しさを感じていたからだろう。

すでに15年以上経過したR1だ。
ハンドリング優先のため、ぎりぎりまで剛性を落としたフレーム
だったらしいので、
経年変化で初期の剛性をキープしているだろうか?
そういうことを考え出したら、
やっぱり難しいと思った。
 
 
ところで、
新型R1のフレームは一見すると華奢に見えるが、
すべてアルミ鋳造フレームとすることで高剛性を確保している。
厚いところと薄いところで強弱をつけている。

また、アルミツインスパー間が狭められている。
当然エンジンが左右に出っ張る。
そこはツインスパーから被膜のような
アルミ部材が伸びてデルタ地帯を構成してエンジンと接合される。
MotoGPYZR-M1と同様な手法といえる。
これによりステアリングヘッドからシリンダーヘッドまでを
一体化して強力な剛性を確保できる。
ドゥカティ・パニガーレのモノコックフレームと似ている。
ステアリングへッドとエンジン上部をしっかりと固めることは、
最新のトレンドなのかもしれない。
 
リアエンドはさして剛性は必要ないのだろう。
スイングアームピットと接合する部位を細く薄くすることで、
バイクがねじれてコーナリングを助ける役目があると思う。
YZR-M1やMoto2カレックスのフレームも同様だと思う。

ちなみにレーシングバイクは鋳造フレームではない。
すべて一品ものハンドメードフレームとなっている。
近々発売されるホンダRC213V-Sは。
MotoGPバイクと同じ構造と製法なので、
途方もなく高い価格になる。

鋳造フレームは高剛性を確保しながら、
量産してコストを下げるための手段にすぎない。
しかし、その開発はかなり難しかったに違いない。
 
これでディアブロスーパーコルサV2のような
ウルトラハイグリップタイヤを履かせてコーナリングスピードを
追及できる。
ウルトラブハードレーキングが可能になるに違いない。
 
従来のアルミ鋳造フレームは薄いとクラックが入る
原因となったが、
アルミの材質、構造と製造方法で克服したのだろうか?
いや、エンジンとフレームの一体化を進めることで従来の
ネガを克服したのかもしれない。

しかし、基本的にアルミ鋳造フレームは固いので、
サーキット走行には最適だが、
一般道やワインディングで扱いやすいかは、
まだわからない。

荒れ路面や低速では曲がらないバイクかもしれない?
ある程度スピードレンジが高くないとフレームは
ねじれないかもしれない。
固いマグネシュームホイールを履かせているので、
余計にそのことが目立つかもしれないね。

いや、フレーム剛性との兼ね合いで、
従来のアルミ鍛造ホイールでは役不足だったのかも?
なのでマグホイールを新作したのか?
 

そこで2002型R1。
新型R1のような最新の鋳造フレームではないが、
左右のツインスパーは、
アルミプレス材を組み合わせて溶接して、
スイングアームピポットの鋳造パーツと溶接している。
非常に手間のかかったフレームだといえる。
新型R1よりもフレームに仕立てるのにかなり
の時間(作業コスト)がかかったに違いない。
精度を上げるためにもそれを短縮できなかっただろう。

また、このフレームではサーキットに持ち込み
タイムを縮めるような走りには向いていないと思う。

しかし、市街地やワインディングでは適度にフレーム
がしなり/ねじれて乗りやすかったに違いない。
その美点は04/05R1で失われた。

スタイルも新型R1と似ている。
これで充分だと思う。

2002年型R1は、
サクションピストン付きインジェクションシステムを
搭載している。
キャブレターの負圧ピストンのような機能を
インジェクションで実現したものいだ。
これって以外といいかも?

その後デュアルスロットルバルブ式インジェクション
シシテムが登場したので、
外側のバルブ?でエアの流速を電子制御
コントロールすることができるようになり、
サクションピストンは必要なくなった。
 
ということで、
新型R1を見た後では、
たしかに古いバイクだと思う。

しかし、なんだか親近感を感じる。
スタイリングも好きだ。
 
R1はレースで勝つことを意識した2004年型
以降、パワーアップと高剛性化されたフレームを追及
してきた。また、09R1からYZR-M1と同じ
クロスプレーンエンジンとなった。
 
その過程で得るものは大きかったが、
失ったものも多い。
まはやR1は初期型のコンセプトとはまるで
違うバイクに変貌した。
 
そういうことを考え併せると、
最新型が最良とはとても思えない。
たしかにサーキットでは最善だと思う。
 
02R1は初期型R1の良さを受け継いだ
最後のR1だったと思う。
 
一般ライダーにとっては、
それが最良のスポーツバイクだったと思う所以だ。
 
 
 
 
 
 

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